第57回 なんかくれ怪談つまみ食い ~死者は何を要求するのか~
なんかくれ怪談つまみ食いと題して怪談のなかで人間と人間以外の者が「頼み」を介してどのように交渉をしているのかを検討した。
新しくは浅田次郎「お狐様の話」、古くは十二世紀前半の今昔物語集巻二七「頼光の郎党平季武、産女に値へる話」と、広く事例を紹介した。
おばけの頼みは、ひしゃく(船幽霊「甲子夜話」など)、赤ん坊(祖先の霊「新耳袋第五夜」)、食べ物(狐憑き「耳嚢」など)、金(「善悪報ばなし」など)、主に空間的移動を伴う復讐の手伝い(「怪談牡丹灯籠」「遊行車」「因果物語」など)、赤子を抱いてくれ(うぶめ「今昔物語」)、家の者にメッセージを伝えてくれ(「高野物語」、片袖幽霊物など)、生ませてくれ(専称院幽霊碑の縁起)など多岐に亘った。
多くの場合、具体的物品そのものの意味合い以上に、物や願いは現世への執着であり、執着を介して死者と生者が交易をするマーケットの姿が見えてきた。
報告者 井上真史
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開催日:2020年10月17日
会場(もしくはzoomミーティングID):https://zoom.us/j/99324797881?pwd=Tno5L3lrM3pXVjdyWHRJZ2ZXdUcyQT09
発表者:井上ネクティ