第95回 林義端『玉箒子』と三浦浄心『見聞軍抄』の関わり

本発表は、三浦浄心の仮名草子『見聞軍抄』と林義端の浮世草子怪談『玉箒子』の関連性に関する報告である。調査により、『玉箒子』五ノ一「兵法の極意」が『見聞軍抄』八ノ三「戸田一刀斎兵法手がらの事」を典拠として、話を丸取りしていることが分かった。また従来、『結城戦場物語』が典拠とされていた五ノ三「迷悟問答」は、『見聞軍抄』七ノ四「結城落城の事」が主たる典拠であり、その上で、後半の乳母拷問の場面を『結城戦場物語』から部分的に引用し、組み合わせた構成であることが明らかとなった。

 義端は『玉櫛笥』においても、浄心の『北条五代記』を利用して三浦道寸・荒次郎父子にまつわる話を執筆しており、三浦一族に何らかの関心を持っていたと思われる。引き続き、義端と浄心の著作、三浦一族の逸話との関連を検討していきたい。

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開催日:2025年04月20日

会場(もしくはzoomミーティングID):ID: pass:

発表者:森翔太(名古屋大学大学院人文学研究科博士研究員)

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