第59回 茶碗の中 〜終わらない怪談〜
小泉八雲の「茶碗の中」は不思議な事件を描いた作者がこの物語の途中で筆を絶ったように書かれている。しかし八雲の原作とされる江戸怪談『新著聞集』では、そのような終わり方をしていない。むしろ茶碗の中に現れた顔の正体が明かされずに終わる結末に何ら違和感を持たない。不思議な出来事が不思議なままで終わっても構わなかった時代と、八雲の解釈との差異は、日本的な怪異感が放つ「(論理的に)終わらない物語」の伝統と直結するのではないか。
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開催日:2020年12月26日
会場(もしくはzoomミーティングID):zoomID:984 3350 7017 pass:904849
発表者:堤邦彦
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