第64回 わたしの中にいる何か ─心が蛇に、なる─
前回の研究会での議論を踏まえ、幽霊=女の観念が形成される背景のひとつとして、仏教における女人罪障観に注目した。具体的には、道成寺説話の類型だが逆に修行僧が女を追う話(「和光ノ方便ニ依テ愛執ヲ離ルヽ事」『助説因縁集』)と、「嫉妬愛欲の心ふかき故指蛇と成て額に角生たる事」(『女人愛執恠異録』)の二話を比較、なぜ女だけが追う存在であり続けたか、という問題を考察した。特に『女人愛執恠異録』には「道宣律師之浄心戒勧云女人之十悪」を例に、女性がもつ<心>の特質を「妬み」や「嫉妬深さ」「不浄」として列挙する箇所がある。こうしたネガティブイメージを女性の<心>に内在させるということは、どういう意味があったのだろうか。また、現在の我々の<心>のあり方とどうかかわってくるのか。制限のある時間のなかで、議論は尽きることがなかった。
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開催日:2021年06月05日
会場(もしくはzoomミーティングID):ミーティングID: 895 2760 0394 パスコード: 289266
発表者:北城伸子