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第64回 わたしの中にいる何か ─心が蛇に、なる─

前回の研究会での議論を踏まえ、幽霊=女の観念が形成される背景のひとつとして、仏教における女人罪障観に注目した。具体的には、道成寺説話の類型だが逆に修行僧が女を追う話(「和光ノ方便ニ依テ愛執ヲ離ルヽ事」『助説因縁集』)と、「嫉妬愛欲の心ふかき故指蛇と成て額に角生たる事」(『女人愛執恠異録』)の二話を比 […]

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第63回 お二人様怪談〜ついてくる亡霊は男?,女?

 岡本綺堂の「木曽の旅人」や小山内薫の「因果」は死んだ女とともに旅を続ける男の物語である。宿で二人分の膳が出ることから背後に付き添う死者の存在を悟る点で、何れも共通のモチーフを備える。  一方、「お二人様怪談」の源流は中国明代の説話集『迪吉録』に求められるものであり、その翻案作に西鶴の『万の文反古』 […]

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第62回 追う妖怪

追う女その1にて、女の幽霊を多くとりあげていただいたことを踏まえ、逃げる者を追いかける<妖怪>に着目した。 多くの妖怪がいる中、追う妖怪は見事に女の姿をした(もしくは女に化けた)妖怪ばかりであった。 女の中でも老婆が非常に多いことから、江戸の男たちにあった深層心理における恐怖の対象、そしてジェンダー […]

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第61回 履物から探る追跡作法の呪術

「追う女」シリーズ第二回。 門脇氏発表により「追う女」の概論が捉えられたところで、より個別の小さな視点から「追う女」の履物に注目した。 道成寺縁起絵巻の清姫が草履を脱ぎ捨てる描写と現在も残る清姫草履塚、映画『怪談』の「雪女」、「遠野物語」のサムトの婆、妖怪絵巻、鬼太郎の下駄などの履物の描写を追うこと […]

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第60回 江戸怪談の〈追う女〉

江戸怪談の<追う女>にまつわる話のうち、江戸初期怪談を中心に検証した。 <追う女>とは、江戸怪談演劇の傑作『東海道四谷怪談』や、江戸怪談文学の金字塔『雨月物語』「蛇性の淫」などに認められる「男を追いかける女霊」の話を総称したものである。江戸怪談を見渡したとき、<追う女>のモチーフは数多く認めることが […]

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第59回 茶碗の中 〜終わらない怪談〜

小泉八雲の「茶碗の中」は不思議な事件を描いた作者がこの物語の途中で筆を絶ったように書かれている。しかし八雲の原作とされる江戸怪談『新著聞集』では、そのような終わり方をしていない。むしろ茶碗の中に現れた顔の正体が明かされずに終わる結末に何ら違和感を持たない。不思議な出来事が不思議なままで終わっても構わ […]

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第58回 韓国ドラマから見る九尾狐の表象

 本発表では、韓国の人気テレビドラマシリーズ『伝説の故郷』(KBS、1977年~1989年に578編、1996年~1999年に72編、2008年に8編、2009年に10編が製作)に登場する九尾狐のエピソード、「九尾狐(1977年)」、「九尾狐(1986年)」、「野狐(1996年)」、「狐女 […]

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第57回 なんかくれ怪談つまみ食い ~死者は何を要求するのか~

 なんかくれ怪談つまみ食いと題して怪談のなかで人間と人間以外の者が「頼み」を介してどのように交渉をしているのかを検討した。 新しくは浅田次郎「お狐様の話」、古くは十二世紀前半の今昔物語集巻二七「頼光の郎党平季武、産女に値へる話」と、広く事例を紹介した。 おばけの頼みは、ひしゃく(船幽霊「甲子夜話」な […]

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第56回 江戸の怪談サロン

前回に引き続き、『続向燈吐話』(写本・元文五年<一七四〇>序)を中心にして、江戸の街中で語られた怪談の様相を検証した。 まず、巻九の十六「丹波国傀儡の霊の事」、巻十の七「女髪の怪異の事」をとりあげた。前者は人形・人形遣いの怪談、後者は正体不明の影に襲われ女の髪が跡に残っていた、というもの […]